2021年2月27日 新着情報ブログ

消火器で起きる重大事故

皆さん消火器はご存知でしょうか?

使ったことがある人は多くないかもしれませんが、見たことある人は非常に多い消防設備の一つだと思います。

ではその消火器によって、死亡事故が起きたことがあるのはご存知でしょうか?

 

決して昼ドラの凶器として使われた、とかではありません。

長い間放置されて劣化した消火器は、使おうとしたり持ち運ぼうとした際に事故が起きてしまうことがあるのです。

 

どのような事故が起きるのか詳細を説明するにあたり、まずは消火器の種類について知っていただきたいと思います。

 

消火器の種類

建物でよく見かける消火器は粉末の消火薬剤を使用するタイプです。

その消火器は大きく分けて①蓄圧式②加圧式の2つの種類があります。

 

①の蓄圧式は最近の主流で、消火器の赤い容器の内部に封入されているガスを利用して消火薬剤を噴射します。

レバーの付け根付近に圧力計があるのが特徴です。

このタイプは劣化などで赤い容器に穴が開くと封入ガスが漏れ出るため、いざという時レバーを握っても消火薬剤は出てこなくて使えません。

(下部写真右参照) 

 

②の加圧式は圧力計は付いていません

赤い容器の中にガスボンベがあり、レバーを握るとボンベからガスが放出され消火薬剤を噴射します。

そのため赤い容器に穴が開いても中のガスボンベに異常が無い限り、レバーを握るとガスが放出されます

(下部写真左参照) 

 

この②の加圧式消火器が事故の起きた消火器です。

 

事故の一例

事故は古い消火器で起きました。

その消火器は雨ざらしだったのか、容器の腐食が激しい状態でした。

流石に使えないと思ったのか、どこかに運ぼうとした方が消火器を廃棄するためレバーを握ったところ、錆びていた容器底部が破損。

そこからガスが放出されたことでロケットのように消火器が飛び頭部を直撃。

頭部の損傷がきっかけとなりその方はお亡くなりになったそうです。

 

※その他の事故事例抜粋

稚内市消火器破損事故

https://www.city.wakkanai.hokkaido.jp/kurashi/shobou/kasai/syokaki/3-syoukaki-jikojirei.html

大阪市消火器事故事例

https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000369435.html

 

 

事故は防げなかったのか?

もし消防設備点検をしていれば未然に防げたかもしれません。

この点検では、消防設備士や点検資格者という専門家が消火器が適切に使用できる状態かを確認します。

その際もちろん容器の腐食、穴が開いていないかなども点検し、異常が見受けられればすぐに対処に動きます。

そのため少なくとも消火器をそのまま放置するようなことにはならず、事故の要因を減らすことができます。

 

消防設備点検は消防法という法令で、半年に一度の実施が義務付けられています。

先の事故はこの義務を怠っていたのだと考えられます。

つまり事故の原因は点検を怠っていた所有者にある、という事になります。

 

たかが消火器、たかが点検だと考えていると、この事故の二の舞になる事もあり得ると思います。

幸い事故の要因となった加圧式消火器は現在では製造されておらず、順次蓄圧式消火器に交換されています。

ですがまだ世の中に加圧式消火器が存在していますので、点検してなさそうな古い劣化した消火器には充分ご注意ください。

 

※下記リンクに消火器の維持管理について書きました。お時間ございましたらご覧ください。

製造から5年経過した消火器があったら要確認です

写真左:加圧式消火器。接続部に若干の錆が見受けられます。

写真右:収納されているのが蓄圧式消火器。手前が加圧式。10年超経過していたため交換。

080-1370-5574
メールでのご相談はコチラから
Copyright(c) 2024 合同会社 長沢防災 All Rights Reserved.