2020年5月31日 新着情報ブログ

製造から5年経過した消火器があったら要確認です

先日、当社点検現場ではない建物の関係者の方から

「使用期限が過ぎておりますが、判定は不良では無いのでしょうか?」

という問い合わせがありました。

 

皆さんの身近にもそんな消火器がないでしょうか?

見かけたら一般の方が同じ疑問を持つ事もあると思い、今回は消火器の使用期限について記事にしてみました。

消火器の使用期限とは?

結論から言うと、
使用期限を過ぎていても、点検結果は"良"になることもあり、引き続き使用できることができます
と回答することになります。
 
まず今回のお問合せの使用期限というのは、写真左端に記載のあるメーカーの「推奨交換期間」を指していました。
 
これは消火器という製品の交換時期が記載されたものです。
メーカーによっては「設計標準使用期限」だったり「使用有効期限」だったりと呼び方が多少違いますが、意味は概ね同じです。
これらはメーカーが消火器という商品に対してラベリングした耐用年数の様なものです。
 
耐用年数といえば、記事トップの写真にある洗濯機などにも記載されている事があります。
(我が家のです、暗くてすみません)
洗濯機が耐用年数を過ぎたら即不良即交換、なんてことはそう無いのでは?
そのため、消火器もメーカー推奨交換期間(使用期限)の超過=即不良ということにはなりません。
 
 
消火器は「点検」されています
ですが、消火器と洗濯機では置かれている立場に違いがあります。
(機能が違うのは当たり前なので無視するとして)果たしてどう違うのでしょうか?
 
それは「消火器は点検されている」という点です。
 
消火器は設置してから半年毎に点検を行わなくてはいけない、と消防法という法律で決められているのです。
 
そのため、マンションやビルの廊下などで見かける消火器はどれも消防設備士などの資格者によって、安全に使える状態かどうかを確認の上設置されているんです。
(他にも条件によっては無資格者でも点検可ですが、今回の話とは違うので省略。)
 
点検内容は?
ではその点検内容はどのようなものでしょうか?
消火器の種類によって異なる部分もありますが、現在普及している蓄圧式粉末消火器を例に挙げたいと思います。
製造年からの経過年数により内容が変わるのですが、ざっくり下記のような点検を行ってます。
 
【製造年1〜5年目】
・外観の変形やサビの有無
・圧力計の値が正常か
→外側から見てわかる項目の点検のみ全数対象
 
【製造年6〜10年目】
・上記点検
・キャップを外し容器内部のサビなどの有無を確認
・内部の薬剤の抜き取り確認
(上記内部の確認は全体の10%ずつ対象)
・内部確認のうち50%以上について放射試験
 
【製造年11年目〜】
・上記点検(内側の確認は10%→20%に変更)
・3年毎に容器が規定圧力に耐えられるか全数確認
 
 
上記の点検項目を全てクリアした消火器であれば、メーカー推奨交換期間を過ぎていても問題なく使用できることになります。
よって点検結果に記される判定は「良」となります。
 
点検結果でどれか1つでも「不良」があった場合には、その消火器の交換をオススメします。
以上が今回のお問合せに対する答えとなります。お付き合い頂きありがとうございました!
 
そしてここから先、内容が少し変わりテーマは「消火器点検の問題点について」です。
↓↓↓↓↓
 
消火器点検に存在する問題点
消火器点検の内容は消防法で定められていますので、一定の必要性があっての事です。
ですが、そこには問題も存在しています。
その問題とは、①分解する必要があるのか?、②点検費用より消火器買い替えの方が安い?ということです。
 
①製品を分解する必要があるのか?
先ほど挙げた「内側の点検」は、実は消火器の破裂事故に起因して行われる様になったものです。
 
その事故は加圧式というタイプの消火器で発生しました。
事故の詳細はここでは省略しますが、現在主流となっている蓄圧式消火器では発生しない要因の事故でした。
 
そこで思うのは、蓄圧式消火器という1つの製品を人の手を加えて分解してまで点検すべきなのかということ。
 
わざわざ製品分解というリスクを負うよりも、メーカーの推奨交換期間で交換する方が人的ミスのリスクも無くよほど安全ではないかと思うのです。
 
②点検費用より消火器買い替えの方が安い?
先ほど点検内容を記載したとおり、消火器は設置後年数が経過するほど点検項目が増えます。
 
そして点検項目が増えれば作業量が増えます。
作業量が増えれば点検費が増えます。
当たり前の話です。
 
ですが皆さんがよく見かける消火器の場合、製造年6年目以降は点検費より消火器買い替えの方が安上がりになり得るのです。
メーカーの使用期限内なのに。
 
そうなって来ると、買い替えた方が安いのに人の手を加える点検をわざわざ行うでしょうか?
事故要因となっていない、現在主流の蓄圧式消火器なら尚更です。①の理由もあります。
しかし消防法上では製造年6年目以降の消火器が1本でもあれば、法に則った点検しないといけないのです。
 
 
現実的な打開策は?
法を変えるのは非常に困難です。
では現時点で蓄圧式消火器の最も低リスクかつ安価でコンプラ遵守な維持方法は?
それは「5年経過後より必要本数の内部点検・放射試験後に新規消火器を設置」だと考えます。
 
一般的に消火器の内部点検や耐圧試験などをする作業費は、交換費用より高額となります。
また、人の手が加わらないことで製品に欠陥を生じさせるリスクも低く、何より消防法を遵守できます。
 
この方法は発注者、作業者双方にとっての妥協点になるのではないかと思います。
これを機にお近くの消火器がどうなっているか、ぜひご確認ください。

そしてもし疑問がありましたら、お近くの専門家や当社などにご相談ください。
もちろん当社では消火器をはじめとする消防設備に関することから、建物全体に関わることまで、可能な限りご相談を承ります。

 

★弊社代表のTwitterはこちら

★消火器具に関するご紹介はこちら

 

※消火器を放置するとどういうことになるか、記事を書きました。お時間ございましたらご覧ください。

消火器で起きる重大事故

080-1370-5574
メールでのご相談はコチラから
Copyright(c) 2024 合同会社 長沢防災 All Rights Reserved.